Research Press Release

より安全な電池のためのスイッチング

Nature Energy

2016年1月11日

加熱したリチウムイオン電池を迅速にシャットダウンし、電池が冷えるとその機能をすぐに回復させることができる材料が、今週報告される。この熱応答性の高い材料は、蓄電池の安全動作の確保に役立つ可能性がある。

加熱は、蓄電池の過充電や内部の電気的短絡によって起こる、火災の一般的な原因である。

Yi CuiとZhenan Baoたちは、グラフェンをコーティングした棘だらけのニッケルナノ粒子をポリエチレンプラスチックに混合した複合材料を開発した。加熱すると、プラスチックが膨張して導電性のニッケルナノ粒子が離れ、この材料の導電率が迅速に大きく(1秒で7~8桁)低下する。その後冷却すると、プラスチックが収縮して、この材料の導電率は元に戻る。Cuiたちは、この熱応答性の高い材料を用いてリチウムイオン電池の集電極をコーティングし、温度変化に対してこれまでのスイッチングデバイスより著しく高い感度を実現できることを実証した。

Cuiたちは、今回の手法によって、将来の電池設計と安全機能が向上する可能性があると示唆している。しかし、さらなる研究によって、電気自動車に使われるような大型電池にこの材料を利用できるか判断する必要がある。

doi:10.1038/nenergy.2015.9

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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