【古生物学】獣脚類恐竜も軽快なフットワークで求愛行動をしていた
Scientific Reports
2016年1月7日
恐竜の求愛誇示が数種の地上営巣鳥類の求愛誇示に似ていたという考えを明らかにした論文が、今週掲載される。この論文には、獣脚類恐竜が足で地面を掘ってできたとされる大きなスクレイプ(浅いくぼみ)の化石が示されており、それが一部の鳥類の「ネストスクレイプ誇示」行動によってできるスクレイプに似ているという見解が示されている。(ネストスクレイプ(nest scrape)とは、地上営巣鳥類が巣として用いる地上の浅いくぼみのこと。)
このMartin Lockleyたちの論文には、米国コロラド州にある白亜紀(約6600万年~1億4500万年前)のダコタ砂岩層の4か所の遺跡から出土したネストスクレイプ誇示の大きな痕跡の証拠が示されている。中でも総面積が約750平方メートルの最大規模の遺跡からは、約60点のスクレイプが見つかっている。このスクレイプは、通常、中央が隆起しており、その左右に溝が並列し、明瞭なひっかき痕が見られる。スクレイプの大きさと深さにはばらつきがあり、これらの遺跡の場所が複数種の獣脚類によって利用された可能性があるとLockleyたちは考えている。
Lockleyたちは、こうしたスクレイプが集団求愛場の一例だとする仮説が、4か所の遺跡から得られた証拠によって裏付けられていると主張し、これらのスクレイプが、繁殖期のニシツノメドリが残す痕跡やダチョウによるひっかき痕と類似している点を指摘している。今回、研究対象となった地域から集団営巣地は見つからなかったが、Lockleyたちは、大量のスクレイプが見つかったことは、近くに営巣地が存在していた可能性を示すものだと考えている。
doi:10.1038/srep18952
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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