先進国は窒素放出の一部を発展途上国に委託している
Nature Geoscience
2016年1月26日
全球の窒素放出のおよそ4分の1は、生産国の国外で消費される商品や日用品の生産から生じているとの報告が、今週のオンライン版に掲載される。この研究は、188か国で起きている窒素汚染の量を定量化し、このような商品や日用品の純輸入国(輸出よりも輸入が多い)はほぼ全て先進国の世界にあり、それらの生産が関わってくるのは(従って汚染が起こるのは)ほとんど発展途上の経済を持つ国々であることを示唆している。
燃焼や農業から生じる反応性窒素ガスは、大気汚染、気候変動および酸性雨に寄与し、肥料から生じる硝酸塩は地下水を汚染し、湖や海岸地域に無生物地域を形成する。
Manfred Lenzenたちは経済モデルと生産、輸送および日用品の消費から放出される反応性窒素の見積もりを用いて、188か国のおよそ15,000の経済地域にわたるそれぞれの国の消費により生成される窒素放出量を定量化した。彼らは、ブラジル、中国、インドおよび米国の消費が世界の日用品に関連した窒素放出のほぼ半分(47%)の原因となっていることを示している(およそ8900万トン)。最終的に著者たちは、国外で生産された商品の消費が極めて大きい国があり、それらの国々は自らの国よりも他の国でより多くの窒素汚染を起こしていることを発見した。
同時掲載のNews & Views記事で、James GallowayとAllison Leachは、Lenzenたちが「実際、我々が窒素汚染をどの程度他の国に輸出しているか」を明らかにしていると述べている。
doi:10.1038/ngeo2635
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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