Research Press Release
社会変化と関連した6世紀と7世紀の寒冷化事象
Nature Geoscience
2016年2月9日
西暦536年から660年頃の明瞭な寒冷期は、ヨーロッパとアジアをまたがった劇的な社会的大動乱の時期と一致しているという報告が今週掲載される。著者たちは、この寒冷な時期を、「古代後期小氷期」と名付けている。
6世紀と7世紀の間は、ユスティニアヌス疫病、ローマ帝国の変革、中国政治体制の変化、スラブ語民族の拡大および初期アラブ-イスラム帝国の発展など、ヨーロッパとアジアで大規模な闘争と変革が起きた。
Ulf Buntgenたちは、ロシア・アルタイ山脈とヨーロッパ・アルプス山脈で得られた年輪の幅の測定を用いて、この期間は、それ以外の過去2000年間と比較してヨーロッパとアジアは異常に寒冷であったことを示した。彼らは寒冷化は、一連の大規模火山噴火と関連した気候のフィードバックが原因であるとしており、この急激な寒冷化が農産物の不作と飢饉だけでなく、前述した社会変化の原因となった環境要因として考慮すべきと示唆している。
関連するNews&Viewsの記事でJohn Haldonは、「古代後期小氷期の場合は、十分な精度で年代が決まっており、地球上の広い地域で起きた重要な社会的変化と一致した劇的な寒冷な時代が、因果関係を示す影響を与えうることの極めて明瞭な演繹的な事例となっているようである」と述べている。
doi:10.1038/ngeo2652
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