水星の深く暗い炭素の秘密
Nature Geoscience
2016年3月8日
NASAの探査機メッセンジャーが水星の最終的な軌道上で見つけた炭素に富んだ物質は、始原的な黒鉛の地殻の残滓の可能性があるとの報告が、今週のオンライン版に掲載される。古代の地殻が露出していることは、水星の表面が予想されているよりも暗く見えることを説明している。
大気がない多くの惑星では、表面を暗く見せる主要な物質は鉄であると考えられているが、鉄は水星よりも月に豊富に存在しているにもかかわらず、水星の表面は月よりも暗く見える。その代わりに、水星では暗く見せる物質として炭素が提案されているが、炭素が惑星に固有に存在するのか、あるいは炭素に富んだ微隕石によって運ばれたのかは論争となっている。
Patrick Peplowskiたちは、探査機メッセンジャーが探査計画の最後に得た水星表面の最も暗い部分の測定を分析した。Peplowskiたちは、水星の最も暗い物質の組成が、実際に炭素に富んでいることを示す確固とした証拠を見つけた。この炭素に富んだ物質を大きなクレーターに関連づけることは、地殻内深部から後の衝突によって露出したという固有の起源と矛盾しない。そしてPeplowskiたちは、暗い物質の斑点は、初期のマグマオーシャンから黒鉛が結晶化し、表面に浮いたときに形成された古代の炭素地殻の残滓が露出したものであると示唆している。この始原的地殻は後の火山活動および他の地質的過程によってはっきりしなくなったが、炭素に富んだ物質の一部はその上の物質と混合して水星表面全体を暗くすることになったのである。
doi:10.1038/ngeo2669
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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