【動物行動】コリーはラブラドール・レトリバーより衝動性が高い
Scientific Reports
2016年3月10日
ボーダー・コリーは、平均してラブラドール・レトリバーより衝動性が高いことが明らかになった。ワーキングライン(それぞれの犬種において人間のために特定の作業、例えばヒツジの群れの番を行うように選択された個体群)を比較したところ、ボーダー・コリーがラブラドール・レトリバーより衝動性が高いことが分かったのだ。これに対して、ボーダー・コリーとラブラドール・レトリバーのショーラインを比較した場合には、衝動性の点で有意差が認められなかった。この研究結果について報告する論文が、今週掲載される。
衝動性とは、報酬による満足を遅延させられないことを意味し、イヌの場合には、攻撃的行動などの問題と関連している可能性がある。ボーダー・コリーとラブラドール・レトリバーは、古くからそれぞれ家畜の番犬と猟犬という異なったレベルの衝動制御を必要とする作業のために選択されていた。
今回、Fernanda Ruiz Fadelたちは、イヌの飼い主の質問票(計18問)に対する回答内容に基づいたイヌ衝動性評価尺度(DIAS)を用いて、純血種のボーダー・コリーとラブラドール・レトリバー(計1,161匹)のデータを収集した。その結果、作業犬のボーダー・コリーが作業犬のラブラドール・レトリバーより衝動性が高かったが、ボーダー・コリーとラブラドール・レトリバーのショーラインの間には衝動性の点で有意差が認められなかった。Fadelたちは、(ショーラインの場合のように)行動ではなく外観がブリーダーの最大の関心事となれば、衝動性における犬種間の平均差が縮まる可能性があるという考えを示している。
今回の研究成果と同じような知見が他の犬種にも当てはまるのかどうかを判断するためにはさらなる研究が必要だが、Fadelたちは、どの犬種であるのかという点だけからイヌ個体の行動に関する予測を行うのは不適切だと指摘している。
doi:10.1038/srep22162
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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