Research Press Release
近縁種で作物の増強能力を保全する
Nature Plants
2016年3月22日
植物の生物多様性を保全するために設けられたリポジトリには、これまでのところ栽培作物の近縁野生種の多様性があまり示されていない、と報告する論文が、今週のオンライン版に掲載される。その研究は、植物育種用の遺伝子バンクでの可用性を高めることによって作物の近縁野生種の保全を促進する系統立った取り組みを求めている。
栽培植物種の近縁野生種には遺伝的多様性があり、それは生産性、栄養、および復元力に優れた作物品種の開発に有用となる場合がある。しかし、その期待は、作物の近縁野生種が、野生または遺伝子バンク保存のいずれかの形で、研究および植物育種に容易に利用可能となっていることが前提となる。
Nora Castaneda-Alvarezたちは、生物多様性、ハーバリウム、および遺伝子バンクのデータベース中の存在データを利用して、81作物に近縁の1000種類を超える遺伝型の世界的分布をモデル化し、その多様性を遺伝子バンクの多様性と比較した。その結果、遺伝子バンクは作物の近縁野生種の多様性が不十分で、70%超は一層の収集の緊急性が高いことが明らかにされ、95%超は自然分布中の地理的および生態学的変動全体に照らして収集が不足していることが分かった。収集の不足が著しいのは、地中海および近東、西欧および南欧、東南アジアおよび東アジア、ならびに南米であることが明らかにされた。
doi:10.1038/nplants.2016.22
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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