Research Press Release

【化石】15億6000万年前の大きな生物の化石

Nature Communications

2016年5月18日

体長数十センチで多細胞真核生物に似た生物の15億6000万年前のものとされる化石について記述された論文が、今週掲載される。同じような体長の真核生物が化石記録上一般的なものになり始めたのは今から6億3500万年前であるため、今回の発見は、肉眼で見える大きさの真核生物の初期進化を示す新しい証拠であるかもしれない。

Maoyan Zhuたちは、中国北部のGaoyuzhuang(高于庄)累層の泥岩から167点の化石を発見し、そのうちの53点を4種類の形状に分類した。約半数が直線形状を有し、残りは楔形、楕円形、舌形だった。これらの化石は、炭素を豊富に含む圧縮化石として保存されており、最大で長さ30 cm、幅8 cmだった。また、Zhuたちは、長さ10マイクロメートルの細胞が密に詰め込まれた断片も発見し、これが多細胞生物の化石であることのさらなる証拠だと解釈している。

Zhuたちは、これらの化石標本の詳細な分析を行った結果、これらが微生物マットの断片ではなく、真核生物の化石だと解釈しており、古代海洋の大陸棚部分に生息する光合成生物だと推測している。ただし、これらの化石生物の類縁性は正確に解明されていない。今後の研究の続行が、こうした古代の海洋生態系の解明に役立つと考えられる。

doi:10.1038/ncomms11500

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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