エネルギーシステムと気候に対する長期的な石油価格の影響
Nature Energy
2016年6月14日
今週のオンライン版で発表される論文によると、エネルギーシステムの構成と炭素排出量に関する意思決定は、将来の石油価格だけでなく、技術、代替資源、政策の影響も受けると思われる。今回、将来のさまざまな石油価格とそれに関連する政策シナリオを分析して、炭素排出量の削減においては、高い石油価格は気候政策の代わりにはならないことが示唆されている。
石油価格は、グローバル経済において重要な役割を担っており、気候変動の緩和に影響を及ぼす。最近の石油価格の下落は、市場が将来どのように変化する可能性があり、再生可能エネルギーの成長、省エネ対策、気候変動イニシアティブのような関連する論点にどのような影響を及ぼすかに関して、不確実を生じさせている。
David McCollumたちは、炭素排出量、エネルギー資源、需給技術に対する将来のさまざまな石油価格動向の影響をモデル化している。その結果、石油価格が低く(1バレル当たり40~55ドル)あるいは高く(1バレル当たり110~120ドル)維持されると、全世界のエネルギーシステムに大きな影響を及ぼす可能性があり、その一部は代替燃料の選択に影響を及ぼすためであることが分かった。代替燃料の選択による影響は、地球の気温を2℃のしきい値以下に維持するのに許される累積排出量の5~20%を占める可能性がある。McCollumたちは、将来の政策決定を検討する際に重要な不確実性は、同時に上昇したり低下したりすることが多かった石油価格と天然ガス価格が、今後連動するかどうかであることを見いだしている。他の不確実性としては、持続可能なバイオ燃料pが石油に置き換わる可能性や電気自動車市場の成長などがある。
doi:10.1038/nenergy.2016.77
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