【生態】近道をして越冬地に渡るカッコウが払う代償
Nature Communications
2016年7月20日
渡り鳥の一種であるカッコウの個体数減少が、渡りの経路選択と関連していることを示唆する研究結果が発表される。サハラ砂漠を横断する渡りで近道をするカッコウは、距離の長い経路を選ぶカッコウより死亡率が高いことが分かったのだ。
他種の鳥の巣に卵を産みつけて育てさせてしまう托卵鳥として知られるカッコウは、英国全体で特定の繁殖集団の個体数が減少している。一部の繁殖集団で個体数が急速に減少している理由は解明されていない。
今回、Chris Hewsonたちは、2011~2014年の合計56回の秋の渡りにおいて、英国で急速に個体数の減少している集団に属する42羽の雄のカッコウに衛星追跡タグを装着して、渡りの途中での死亡を追跡調査した。その結果分かったのは、個体数が減少する繁殖集団に属するカッコウが中央アフリカにある冬の繁殖地に渡る際には、東ルート(イタリアとバルカン半島を経由する)より西ルート(スペインを経由する)をとる可能性が高いことだった。距離の短い西ルートで死亡率が高く、サハラ砂漠に到達する前の死亡率が高いことも明らかになった。カッコウはスペインで厳しい干ばつ条件に直面した可能性があるという考えをHewsonたちは示している。
以上の新知見は、渡りの経路が繁殖地での集団の繁栄に影響を及ぼすことがあることを明らかにしている。中継地の条件が渡りの途中での死亡率にどのように寄与するのかを検討することは、カッコウやその他の渡り鳥の将来的な繁栄を予測する上で非常に重要だとHewsonたちは考えている。
doi:10.1038/ncomms12296
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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