【遺伝】ネコの短い尻尾の遺伝的基盤
Scientific Reports
2016年8月26日
尻尾の短いジャパニーズ・ボブテイルと中国の尻尾の短い野良猫の遺伝的基盤が同定されたことを報告する論文が、今週掲載される。これらのネコの尻尾が短いという形質の原因がHES7遺伝子の変異であることが今回の研究で示唆されている。
マンクスネコと数種類の短尾猫の尻尾が短い、あるいは尻尾がないという形質の原因がT-box遺伝子の変異であることは、これまでの研究で明らかになっている。しかし、T-box遺伝子はジャパニーズ・ボブテイルの尻尾が短いという形質との関連が認められておらず、飼い猫の尻尾の長さが決まる際に別の1つ以上の遺伝子が関係していることが示されている。
今回、Shu-Jin Luoたちは、2世代のネコ(合計13匹)の遺伝的解析を行い、その後、これらのネコと血縁でない233匹のネコ(126匹の野良猫と107匹の飼い猫)のスクリーニングを行って、尻尾の長さに関連する遺伝的バリアントを調べた。その結果、正常なHES7遺伝子と変異のあるHES7遺伝子(アミノ酸残基のバリンがアラニンに置き換わっている)を1コピーずつ有するネコの尻尾が短いことが判明した。その長さは、わずかに短くなったもの(長さ約25 cm)から長さ10~20 cmまでさまざまだった。また、今回の研究で調べた中国の短尾猫の約3分の1は、短い尻尾に関連するHES7遺伝子やT-box遺伝子の遺伝的バリアントを持っていなかったが、この結果は、これらのネコの短い尻尾に寄与する別の遺伝子の存在を示唆している可能性がある。
doi:10.1038/srep31583
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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