エアロゾルの気候への影響は国際貿易によって外部調達される
Nature Geoscience
2016年9月6日
東アジアでエアロゾルが気候にもたらす影響の大部分は、東アジアではなく先進国の消費により引き起こされているとの報告が、今週のオンライン版に掲載される。この研究は、国際貿易によって、放射強制力として知られるエアロゾル放出の気候への影響が、純消費国から純生産国へとシフトしていることを示している。
温室効果ガスと異なり、工業的な過程や化石燃料の燃焼により放出される(硫酸塩や黒色炭素などの)エアロゾルは、概して短い間(数日から数週間)しか大気中にとどまらない。その結果、その気候への影響は通常はその放出源周辺地域で最も強くなる。これまでの研究は、国際的な貿易が温室効果ガスと他の汚染物質放出を再分配させ、地域的な空気の質を変える上での役割を立証してきたが、気候強制力へのエアロゾルの効果はよく分かっていなかった。
Jintai Lin、Qiang ZhangおよびYi Huangたちは、世界中の11か所の地域で製品やサービスの生産と消費に関連したエアロゾル放出を見積もり、生産に関連したエアロゾルと消費に関連したエアロゾルが全球の気候とこれらの地域の気候に及ぼす影響を比較した。著者たちは、東アジアは強力に放出する製品の純輸出国なので、この地域における製品の生産による放射強制力は製品の消費に関連した放射強制力よりもずっと強いことを見つけた。しかしながら、著者たちは、西ヨーロッパ、北アメリカおよび大洋州OECD(日本、韓国、オーストラリアおよびニュージーランド)などの純輸入地域では、その逆、すなわち消費に関連した放射強制力が生産に関連した強制力よりもずっと大きいことを発見した。著者たちは、強力に放出する製品の純輸出国の政策立案者は、より切迫した地域的な環境規則に対するコストを、純輸入地域の消費者へ転嫁できないか検討するべきであると示唆している。
doi:10.1038/ngeo2798
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