米国の現行法令と現在実施中の対策ではパリ協定での約束を果たせない可能性が高い
Nature Climate Change
2016年9月27日
米国がパリ協定の一環として行った温室効果ガス排出削減の約束を果たすには、現在提案されている気候変動対策をすべて実施するだけでなく、さらなる対策も必要なことを報告する論文が、今週に掲載される。
オバマ米国大統領は、9月3日にパリ協定への批准に関する文書を提出した。米国は、各国が自主的に定める約束草案(INDC)において、2025年の温室効果ガス排出量を2005年比で26~28%削減することを約束した。
今回、Jeffrey GreenblattとMax Weiの研究チームは、米国の(エネルギー、輸送、農業、建築の各部門に適用される)現行法と現在実施中の対策と現時点で提案されている対策と法案が、INDCに示された目標達成に十分かどうかを分析した。その結果、既に実施されている対策を継続するだけなら、米国のINDCに示された目標を551~1,805 MtCO2e(二酸化炭素換算100万トン)下回ることになり、提案されている対策まで実施されれば、目標を340~1,586 MtCO2e下回ることになることが判明した。そして、(発表されただけのものや正式な対策になっていないだけのものなど)準備段階にある実施可能な対策がすべて実施されれば、INDCに示された目標が達成される可能性が生まれるが、今後の政策決定過程がこうした対策に有利な状況になるかどうかにかかっている、とGreenblattとWeiは指摘している。そのため、米国のINDCに示された2025年の温室効果ガス排出量の目標の達成を確実なものとするには、さらなる対策が必要となる可能性が高い。
doi:10.1038/nclimate3125
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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