Research Press Release
【進化】全球的に寒冷化した時期に多様化速度を増した海生甲殻類
Nature Communications
2016年10月5日
過去に全球気温が低下した時期に、異尾下目の海生甲殻類(ヤドカリ、タラバガニ、オオコシオリエビなど)の種分化速度が上昇したことを明らかにした論文が、今週掲載される。全球的な寒冷化が、テクトニクス活動と海流の変化、海水準の低下、利用可能な酸素量の増加を通じて、海生甲殻類の生息地に変化をもたらしたと考えられるのだ。
気候が変化すると、生物種が生息していた場所が生息に適さなくなり絶滅速度が上昇する場合がある。その一方で、全球気温の上昇によって陸生脊椎動物と海生脊椎動物の種分化速度が上昇するという気候と種分化速度の関係が複数の研究によって明らかになっている。
今回、Katie Davisたちは、過去2億年にわたる異尾下目における種分化速度と気候の関係を調べた。その結果、種分化速度の顕著な変化が起きたのが過去1億年間に限定されていたことが分かった。海洋クレードの種分化速度は、気温と負の相関関係にあった。これに対して、異尾下目の1つの淡水クレードは、気温が上昇すると種分化速度も上昇した。
以上の知見は、今後の地球温暖化によって種分化速度が上昇する生息地と低下する生息地があることを示唆している。
doi:10.1038/ncomms13003
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