Research Press Release
個人のハプロタイプを調べる
Nature Biotechnology
2010年12月20日
個人のハプロタイプ(染色体の2つのコピーそれぞれがもつ遺伝子変異体の組み合わせ)を実験によって決定する新しい手法の報告が2つ寄せられている。これらの手法は、病気の遺伝子基盤を明らかにするのに役立ち、医療診断に利用できる可能性がある。
ヒトの各遺伝子には、父親と母親から1つずつ受け継いだ2つのコピーがある。これらの遺伝子の異なった型を対立遺伝子(アレル)という。この対立遺伝子の組み合わせの違いが、個人を他とは異なる唯一無二の存在にしている。
これまで、ヒトゲノム全体のハプロタイプの決定には、高い費用がかかってかなり非現実的な実験か、不完全な推定を含む統計的手法を使わざるを得なかった。S Quakeたちは、1個の細胞からの染色体を分離し、個別の容器に入れて分析する装置を作製した。そして、ある家系でこの方法を使って遺伝的変異の受け継がれ方のパターンを解析し、自己免疫疾患と感染症に対する感受性に影響する免疫系関連遺伝子を調べ、この検査が臨床的に意味をもつことを示した。
これとは別のやり方として、J Shendureたちは、全ゲノム塩基配列解読と同時にハプロタイプの決定にも利用できるDNA調整法の新しいプロトコルを開発した。Shendureたちはこの方法を利用して、インド亜大陸に祖先をもつヒト1人のゲノムを初めて解読した。
doi:10.1038/nbt.1739
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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