【植物生物学】モモの農業形質を制御する遺伝子
Nature Communications
2016年11月9日
完璧なモモとはどういうものなのか、表面が毛羽立っているものなのかツルツルしたものなのか、甘いものなのか酸っぱいものなのかは、個人の好みの問題だが、こうした特徴の多様性の遺伝的基盤を説明する論文が、今週掲載される。
今回、Lirong WangとZhixi Tianの研究グループは、モモの味と外観に関係する12の重要な形質に関連する遺伝領域について報告し、将来の育種の取り組みで活用できる貴重な遺伝的データを明らかにした。この研究で、Wangたちは、129種のモモからなる多様なコレクションから得られた大量のゲノム配列解読データを解析した。これら129種は、徹底した育種の取り組みの成果である現在の栽培品種と在来種、野生近縁種の食用モモだ。
Wangたちは、モモの香りを制御する形質に関連する遺伝子が中国の初期農耕民が行ったモモの木の当初の栽培化において主に選択されたことを示す証拠を発見した。これに対して果実重量の増加に関連する遺伝子は、より最近の育種に伴うものと考えられている。また、特定の遺伝子配列と果実形質の間にいくつかの相関が観察されており、例えば、果実の酸度は、植物ホルモン輸送体をコードする遺伝子の発現の変化に影響されると考えられ、モモの形状は細胞死に関係するタンパク質の発現によって決まると考えられている。
以上の新知見は、実際の農業の観点から重要なだけでなく、モモという重要な果菜のゲノムが栽培化と現代の育種によって作り上げられた過程を説明する上でも役立つ。
doi:10.1038/ncomms13246
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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