【地球科学】重力シグナルを地震の早期警報に結び付ける
Nature Communications
2016年11月23日
地震が生成する重力シグナルを検出することで、地震の早期警報を出すタイミングを早められる可能性のあることを報告する論文が、今週掲載される。この新知見は、地震災害(例えば、津波)に関する新たな早期警報システムの開発の先触れである可能性がある。ただし、そうした警報システムの実施が可能となるには、新しい機器の開発と試験が必要となる。
地震の早期警報システムは、地震波の検出に依存しているが、地震波は、地震の破壊が起こって初めて検出される。また、地震によって地球の重力場に変化が生じることも分かっているが、これまでのところ破壊後に検出されたのは、重力場の静的変化に限られている。一方、理論研究では、破壊の際に生じる一時的な重力の変化を地震波の到達前に全球的に(先発の重力シグナルとして)検出できることが予測されている。
今回、Jean-Paul Montagnerの研究グループは、2011年東北地方太平洋沖地震において得られたデータを調べて、地震波の到達前に観測できる先発の重力シグナルを初めて検出した。こうした重力シグナルが発見されたことで、破壊的な津波を発生させ、福島第一原子力発電所の大惨事を引き起こした東北地方太平洋沖地震のような地震の早期警報をもっと早く発することができる可能性が生まれている。
この方法は大きな可能性を秘めているが、従来の地震計とともに重力傾斜計(重力シグナルを検出するための機器)のネットワークを構築する必要がある点に注意を要する、とMontagnerたちは指摘している。
doi:10.1038/ncomms13349
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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