【動物学】野生のパンダが確実に生き残るために必要な広さ
Scientific Reports
2016年12月9日
最小要求面積(MAR)とは、生物の個体群が長期的に存続するために必要な生息地の最小面積のことだが、今週掲載される論文では、野生のジャイアントパンダにとってのMARを算出した結果が報告されている。
ジャイアントパンダの個体群は、かつて中国の南部と東部のほとんどの地域とミャンマー北部とベトナム北部で広範に見られたが、現在では、自然災害と人間活動の拡大のためにチベット高原東端の険しい山脈の6つの地域だけに分散して存続している。
今回、Zhisong Yang、Zejun Zhang、Qiang Daiとその他の研究者からなるチームは、ジャイアントパンダの存在に関するデータセット(例えば、足跡や採餌痕)を用いて、今も生息している野生のジャイアントパンダの総個体数の74%以上が生息する中国の5つの山脈におけるパンダのMARを算出した。これらのパンダ個体群全体にとってのMARは114.7 km2と算出されたが、Yangたちは、個々の生息地パッチの大きさがパンダの保全に重要な意味を持っているという見解を示している。また、パンダの局地的個体群の存続を確実なものとするためには、パンダの移住だけでは不十分で、パンダの生息地の分断化を減らす努力も必要だとYangたちは主張している。そしてYangたちは、生息地パッチ間に回廊を開設すれば分断化の影響を減らせる可能性があるが、生息地分断化が非常に激しく起こっている山脈で生息地を広げることの必要性は変わらないという考えを示している。
doi:10.1038/srep37715
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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