Research Press Release
天文学:原始三連星系の誕生経緯
Nature
2016年10月27日
多重連星系は重力的に不安定な条件下で誕生することが、原始三連星系の観測によって明らかになった。この新知見は、多重連星系の進化の解明に役立つものであり、その詳細が記述された論文が、今週掲載される。
星の形成過程の通常の結果として、太陽類似星の約半数に1つ以上の伴星がある。この過程を説明する学説は、主に2つあり、第1の学説は、星の形成過程にある分子雲の核内で起こる乱流によって物質の塊が断片化し、伴星が形成されるというもので、最近、観測的証拠が得られた。今回、John Tobinの研究チームは、重力不安定によって(原始星を取り巻くガスとダストからなる)原始星円盤が断片化するという第2の学説を裏付ける証拠を提示している。
Tobinたちは、星形成の初期段階にあるL1448 IRS3Bという若い原始三連星系(年齢が15万年未満と考えられている)について調べた。この原始三連星系については過去にも研究が行われているが、今回ALMA天体望遠鏡によって新たに得られた画像は過去の研究におけるものより質がかなり高く、Tobinたちは、星を取り巻く円盤の中に渦状腕があることを観測できた。この原始星円盤で最近になって重力不安定が起こり、1つ以上の伴星が誕生したことが観測結果によって示された、とTobinたちは結論付けている。
doi:10.1038/nature20094
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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