【惑星科学】月面上のクレーターの影響を定量化する
Nature
2016年10月13日
月面上で200個以上のクレーターが新たに同定され、(直径が10メートル以上の)クレーターの総数が現在のモデルによる予測を33%上回っていることを報告する論文が、今週掲載される。今回の研究は、月面上でのクレーターの形成率だけでなく、衝突クレーターの形成過程に関しても手掛かりをもたらしている。このことは、月やその他の天体上の岩石単位の年代を測定する際に重要だ。
月面上に存在するクレーターと月から持ち帰った標本に関する過去の研究では、クレーター形成過程と過去のクレーター形成率に関する情報が得られたが、現在のクレーター形成率に関する情報は、それほど得られていない。
今回、Emerson Speyererたちは、月面の多くの区画を対象とするルナー・リコネサンス・オービターカメラの1つナローアングルカメラの高解像度時間イメージング(前画像と後画像)を用いて、現在のクレーター形成率を定量化した。その結果、222個の衝突クレーターが新たに発見され、(直径が10メートル以上の)クレーターの数が現在のモデルによる予測を33%上回っていることが分かった。また、Speyererたちは、新たに発見されたクレーターに関連する広範な高・低反射領域も同定し、これらの領域が地表の物質の噴射が関係する新たな衝突過程を示す証拠だと解釈している。そして、Speyererたちは、この二次クレーター生成過程によって月面の表土の深さ2センチメートルまでの部分(地表の固結していない固体物質の層)が、従来の推定レベルの100倍以上の速さで撹拌されると推測している。
doi:10.1038/nature19829
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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