【生態学】農家を巻き込むことで中国の収量ギャップが縮小する
Nature
2016年9月8日
科学者たちが農村に住み込んで働き、農民を巻き込んで知識を共有化した5年間(2009~2014年)で、中国の9万戸を超える農家が小麦とトウモロコシの大幅な増産を達成した。今週発表されるこの参加型アプローチの結果は、収量ギャップ、つまりある地域の農家の実際の収量と実現可能と想定される収量との差を埋めて世界の他の地域の食糧安全保障を増進するのに役立つのではないか、と研究チームは考えている。
Fusuo Zhangたちは、中国曲周県のさまざまな農村で2009~2014年に実施された収量実験の結果を発表している。その間、科学者たちは、技術移転を進める目的で、農民とともに居住して働いた。まずは、収量ギャップに寄与する主たる要因(具体的には作物品種、栽植密度、播種期、および肥料管理)を特定するために、現地の農村の農民150人と面接し、圃場実験を実施した。この情報を利用し、耕作コミュニティーのリーダーからのフィードバックを組み込んで、1組10通りの推奨手法をまとめた。この手法の採用により、5年間の平均収量は、71人のリーダー農家では達成可能なレベルの67.9%から97.0%に、県全体(9万3074戸)でも62.8%から79.6%に増加した。生産本位のイベントとともに、手法の採用を農家に働きかける目的で、研究の期間を通じてさまざまな社会文化的活動が企画された。
著者たちは政府および民間企業にも接触して支援を獲得し、それが資源および農家の経済的利益の増加につながった。
doi:10.1038/nature19368
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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