Research Press Release
【健康科学】食餌制限がマウスの老化促進を抑えて寿命を延ばす
Nature
2016年8月25日
ヒトの早老症候群(年齢不相応に老けることを特徴とする疾患)のマウスモデルを使った研究で、食餌制限が老化促進を抑制し、DNA損傷を防ぐことが明らかになった。この新知見は、食餌制限の有益な効果に関する理解を深める上で役立ち、早老症の治療法を発見する助けとなる可能性がある。この研究成果を報告する論文が、今週掲載される。
特定の早老症候群は、DNA修復機構の欠陥を原因とし、DNA損傷の持続と老化促進を引き起こす。これと同じようなDNA修復機構の欠陥を有するマウスは、寿命が約4~6か月以下だが、食餌制限による抗老化応答に似た生存応答の兆候も示している。今回、Jan Hoeijmakersたちは、DNA修復欠損マウスに食餌制限を行うことで、こうした防御応答を増強できることを明らかにした。このマウスの食物摂取量を30%制限したところ、残りの寿命が3倍の長さになり、数々の老化促進の特徴が抑制された。例えば、食餌制限をしたマウスは、自由に食物を摂取したマウスと比べて、保持される神経細胞が50%多かった。
Hoeijmakersたちは、食餌制限の効果を模倣する治療法を早老症候群の治療に利用できる可能性があり、神経変性の治療にも利用できるかもしれないと考えている。しかし、このマウスにおける食餌制限の効果がヒトにおいても保持されるかどうかは確認されていない。
doi:10.1038/nature19329
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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