【環境】長期間にわたる全球表層水の分布変化を示す高分解能地図
Nature
2016年12月8日
過去30年にわたる地球上の表層水の分布の変化を示す高分解能マップを発表する論文が、今週掲載される。こうした変化のほとんどは、干ばつ、貯水池建設(例えば、ダム建設)と水の抽出によって引き起こされると考えられることが、今回の研究に示されている。
これまでの研究では、表層水の全球的分布のマッピングと長期にわたる表層水の局地的、地域的変化の追跡観測が行われていた。しかし、長期にわたる全世界の表層水の変化を一貫した方法論によって定量化することが今まで行われていなかった。
今回、Jean-Francois Pekelの研究チームは、1984~2015年に地球観測衛星ランドサットによって撮影された300万点以上の画像を解析し、30メートルの分解能で表層水の月々の変化を定量化した。Pekelたちは、それぞれ30メートル四方の地上部分を土地または開水面(淡水面と塩水面の両方を含むが海洋を除く)に分類するアルゴリズムを用いて、過去32年間に約90,000 km2の地域(スペリオル湖の面積にほぼ匹敵する)から永久表層水が消滅し、その70%が中東と中央アジアで起こったことを明らかにした。その一方でPekelたちは、新たな永久表層水が別の地域に出現し、その面積が、永久表層水が消滅した面積のほぼ2倍(184,000 km2)であり、ほぼ全ての大陸地域で永久水が正味で増加し、オセアニアでは正味で1%減少したことを明らかにした。
Pekelたちは、今回の研究で得られたデータセットは気候変動と気候振動が表層水の分布に与える影響に関する新たな情報源になると同時に、表層水源の分布に対する人間活動の影響をとらえたものだと結論づけている。
doi:10.1038/nature20584
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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