Research Press Release
難聴と不整脈の関連
Nature Neuroscience
2010年12月6日
カルシウムチャネルの機能喪失はヒトの難聴の原因になり、不整脈とも関連することが、Nature Neuroscience(電子版)の論文で報告されている。この結果はヒトの聴覚と難聴に対する洞察を与えるもので、原因不明の難聴には心臓検査が必要だと強調している。
細胞にカルシウムを取り込むイオンチャネルの一種であるL型カルシウムチャネルは、聴覚に重要な聴覚有毛細胞と心臓の拍動に重要な洞房結節(SAN)の機能に重要な役割をもつ。
H Bolzらは、血族に多くの難聴者がいる2家系で、L型カルシウムチャネルの膜孔形成成分を指令するCACNA1D遺伝子の変異を同定した。さらに、難聴者にはみな、安静時の心拍が異常に遅い明白なSAN機能不全がみられた。変異体カルシウムチャネルをさらに調べると、変異によりカルシウムイオンがチャネルを通過できなくなることがわかった。変異体カルシウムチャネルの機能喪失が聴覚細胞とSAN細胞の電気的興奮性の変化と密接に関係するならば、これら難聴者にみられる聴覚消失とSAN機能不全の両方を引き起こす可能性がある。
doi:10.1038/nn.2694
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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