Research Press Release

腫瘍をBRCA欠損にする

Nature Medicine

2011年6月27日

DNA修復過程に焦点を絞って、幅広いがんを治療する方法が考案された。これによって、DNA修復にかかわるタンパク質PARPの阻害薬の適用範囲が広がり、現在主に利用されているBRCA遺伝子の変異が原因のがんのほかに、幅広いがんの治療に使えるかもしれない。

BRCA遺伝子の変異は、がんを促進するだけでなく、がん細胞のDNA維持、修復能力をも低下させる。例えば、PARPのような他の必須成分を標的とすることによって、このDNA維持、修復過程をさらに阻害すれば、がん細胞を選択的に殺すことができる。しかし、この方法は、BRCA遺伝子が変異したがんにしか適用できない。

G Shapiroたちは、BRCA遺伝子の活性を調節する酵素を同時に阻害すれば、BRCA変異のないがん細胞であってもPARP阻害剤治療に対して感受性になることを明らかにした。この二重阻害法なら、BRCAの変異の有無にかかわらず、幅広くがんの治療に利用できる可能性がある。

doi:10.1038/nm.2377

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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