Research Press Release

【ウイルス】ブラジル由来のジカウイルスに対するワクチン防御

Nature

2016年6月29日

ブラジルのジカウイルスにかかりやすいマウスに2種類のワクチンのいずれかを1回接種することでウイルス感染から防御できることを報告する論文が、今週掲載される。この新知見は、ヒト用ジカウイルスワクチンの実現に向けた一歩前進といえる。

ジカウイルスの感染によって神経障害(小頭症、ギラン・バレー症候群など)が起こることが広く認められており、世界保健機関は、ジカウイルス感染が国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態であることを宣言した。そのため、安全で有効なジカウイルスワクチンの開発が優先課題となっているが、ジカウイルスの免疫学的性質とこのウイルスに対する免疫防御機構については、ほとんど解明が進んでいない。

今回、Dan Barouchは、ジカウイルス感染のマウスモデルを用いて、ワクチン候補の試験を行い、2種類のジカウイルスワクチン(DNAから作られたワクチンと精製不活化ジカウイルスワクチン)のうちの1つの単回接種によって、マウスがブラジル北東部に由来するジカウイルスの分離株から完全に防御されたことを明らかにした。ワクチン接種を受けたマウスは、特定のウイルスタンパク質を認識する抗体を産生し、防御の程度は、抗体価と相関していた。このマウスの研究の結果からヒトでの有効性を推定する際には注意を要するが、今回の研究は、安全で有効なヒト用ワクチンの実現可能性の期待を高めている。

doi:10.1038/nature18952

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度