【考古学】フランスの洞窟で見つかった構造物の作り手は初期ネアンデルタール人だった
Nature
2016年5月26日
フランスの洞窟で見つかった太古の複数の環状構造物がネアンデルタール人によって作られた可能性が非常に高いことを示す研究論文が、今週のオンライン版に掲載される。こうした環状構造物の構造と場所に加えて火を燃やした痕跡があることから、この環状構造物の作り手が、これまでネアンデルタール人の行動とされてきたものより複雑な行動をとっていたと考えられている。
約400個の石筍の破片からできた構造物がフランス南西部のブルニケル洞窟の入り口から336メートルの地点で発見されたのは1992年のことだったが、最近まで調査がほとんど行われていなかった。今回、Jacques Jaubertたちは、そのうちの2つが環状構造物(大きさが2.2 x 2.1メートルと6.7 x 4.5メートル)で、ほぼ17万6千年前のものだったと報告している。これは、ネアンデルタール人がフランス南西部で生活していた時期に当たる。
この環状構造物は、同じような大きさの石筍の破片からできており、その建設が入念に計画されていたことを示しているが、この構造物の機能は分かっていない。避難所の一部だった、象徴的な意味合いがあった、など数々の仮説が提唱されており、これらの仮説を研究の継続によって検証したいとJaubertたちは考えている。しかし、こうした構造物が洞窟の奥深い場所にあったということは、約17万6千年前にヒトの祖先が地下環境にすでに精通しており、この現代人の行動がこれまで考えられていたよりも早期に現れていたことを示している。
doi:10.1038/nature18291
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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