Research Press Release
【地球科学】ハワイ-天皇ホットスポットの軌跡が湾曲している原因
Nature
2016年5月12日
北太平洋のハワイ-天皇ホットスポット軌跡の幾何学的形状の特徴である鋭い湾曲について、その物理的基盤を明らかにした論文が、今週掲載される。テクトニックプレート境界から離れたところに形成する火山は、マントルプリューム(地球の深部から上昇する高温のマグマ)が地表に現れたものと考えられている。こうした「ホットスポット」がテクトニックプレートによって動かされると、新たな火山が次第に形成される。
北太平洋のハワイ-天皇ホットスポット軌跡の奇妙な湾曲を説明するためにいくつかの機構が提案されているが、その基盤をなすマントル流の動態は解明されていない。
今回、Dietmar Muller たちは、マントル対流の数値モデルを用いて、過去2億3000万年にわたるマントルプリュームの軌道と傾斜を調べた。その結果、北太平洋下の地中深くにある下部マントルにおけるマントル流が1億~5000万年前に異常に活発で、それが長期間にわたって存続している沈み込み帯(1つのプレートが別のプレートの下に沈み込む場所)の結果であったことが分かった。Muller たちのモデルは、ハワイ-天皇ホットスポット軌跡の鋭い湾曲が、マントルプリュームの傾斜とプリューム生成源の側方移動との相互作用によって説明できることを示唆している。
doi:10.1038/nature17422
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
化学:アルゴリズムは、ウイスキーの最も強い香りと原産地を嗅ぎ分けることができるCommunications Chemistry
-
天文学:月の年齢はより古いNature
-
気候変動:南極の海氷減少が嵐の発生を促すNature
-
天文学:天の川銀河の超大質量ブラックホールの近くに連星系を発見Nature Communications
-
惑星科学:土星の環が若々しい外観を保っている理由Nature Geoscience
-
惑星科学:木星の衛星イオに浅いマグマの海はないNature