Research Press Release

【気候変動】温暖化で今のところは快適な米国の気象条件

Nature

2016年4月21日

過去40年間に米国民の大多数が経験した気象条件が気候変動によって改善されていたことを報告する論文が、今週掲載される。しかし今後は夏の気温が上昇するため、21世紀の終わりには米国民の88%が今より不快な夏を経験することになるという推定結果も示されている。/p>

これまでに発表された人口増加モデルでは、米国人が冬の気温が高い地域での居住を好み、高温多湿の夏を好まないことが明らかになっている。Patrick EganとMegan Mullinは、この研究と気象条件が局地的な人口増加に及ぼす影響に関する他の研究を組み合わせて、人々の気象条件の好みを示す指標を定めた。今回の研究では、米国本土の各州(アラスカ州を除く)において、人口の80%が1970年よりも快適な気象条件の地域に居住し、ほぼ全ての米国人が一般的に好まれている穏やかな冬を経験し、夏の気温と湿度の上昇は無視できる程度にとどまっていることが明らかになった。しかし、この傾向が継続する可能性は低く、もし温室効果ガス排出量が現在のレベルで抑制されないと、2100年になって米国民の88%が現在よりも不快な気象条件を経験するようになるとEganとMullinは考えている。/p>

米国人が最近数十年間の気象パターンのために気候変動への政策的対応を積極的に要求する気持ちにならなかった可能性がある一方で、国民の日常的な気候変動の経験が現在よりも不快なものとなれば、国民の懸念が高まる可能性がある、とEganとMullinは結論づけている。/p>

doi:10.1038/nature17441

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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