Research Press Release
【遺伝】タツノオトシゴの秘密がゲノム解析で明らかに
Nature
2016年12月15日
このほどタツノオトシゴのゲノム解析が行われ、その独特の形質(例えば、体形や雄性妊娠)の遺伝的基盤に関する手掛かりが得られた。この研究に関する論文が今週掲載されるが、タツノオトシゴのゲノムの進化に光を当てた論文であり、そのゲノムの進化速度が、近縁種のゲノムより速いことが示唆されている。
タツノオトシゴには、他の魚類や動物とは大きく異なる数々の注目すべき特徴がある。例えば、前方に突き出た長い管状の吻と歯のない小さな口があり、雄の育児嚢の中では卵から孵化した胚が稚魚に成長するまで過ごす。今回、Byrappa Venkateshの研究チームは、タイガーテールシーホース(Hippocampus comes)のゲノムを解読、解析して、こうしたユニークな特徴に寄与するゲノムの配列要素を解明した。
雄の育児嚢の中では胚の孵化に関連する遺伝子が高発現していることをVenkateshたちは報告している。また、いくつかの調節因子が失われており、タツノオトシゴの体形の進化に何らかの役割を果たしたとVenkateshたちは考えている。さらにタイガーテールシーホースにはエナメルタンパク質の遺伝子がなく、そのために石灰化した歯が失われた可能性があり、そのことが管状の吻と小さな口の進化に寄与したと考えられている。一方、タイガーテールシーホースにtbx4遺伝子(肢発生を調節する遺伝子として知られる)がないことは、腹鰭の喪失に関係している可能性がある。
doi:10.1038/nature20595
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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