Research Press Release
【化石】謎に包まれたターリーの怪物は脊椎動物だった
Nature
2016年3月17日
3億700~900万年前のものとされるメゾンクリーク動物相(米国イリノイ州)で発掘された「ターリーの怪物」(Tullimonstrum gregarium)という謎の軟体性動物の化石が、ヤツメウナギに似た脊椎動物であることを報告する論文が、今週掲載される。この謎の化石は、イリノイ州の化石として公式に指定されているが、その動物学的類縁性については科学者を50年以上悩ませてきた。これまでに形態学的特徴に基づいた化石の解釈が少なからず行われており、この動物が線虫や軟体動物、節足動物、コノドントだという結論が示されていた。
今回、Victoria McCoyたちは、博物館所蔵のTullimonstrumの標本(1,200点以上)を分析して、その類縁性を調べ、それらの化石に含まれる二次元の薄い色の正中線近くの構造(腸管の痕跡と一般に考えられている)を脊索とする新しい解釈を示した。脊索は、脊索動物が持つ骨格桿体だ。McCoyたちは、この化石動物が大型(体長約10 cm)で、細長く分節した体を持ち、長い剛体棒の両端に眼があり、吻管の端に顎があり、尾びれもあったと説明している。こうした特徴を合わせて考慮した上で系統発生解析が行われ、この化石動物がヤツメウナギに近縁な脊椎動物であることが判明した。この新知見で、ヤツメウナギの絶滅種の形態の幅が広がった。
doi:10.1038/nature16992
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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