【動物学】海洋哺乳類は出会うと挨拶をして餌をあさる
Nature
2016年3月3日
被食魚類の居場所をめがけて集結する8種以上の海洋哺乳類の空間分布の地図が作成され、大西洋に種特異的な採餌領域が数多く存在していることが判明した。この研究成果は、これらの海洋哺乳類の分布に関する新たな記録であり、こうした哺乳類の行動と被食生物種との相互作用の解明に役立つ。この研究の詳細を報告する論文が、今週掲載される。
今回、Purnima Ratilalたちは、受動海洋音響導波路リモートセンシング技術を用い、さまざまなクジラ種(シロナガスクジラ、ナガスクジラ、ザトウクジラ、イワシクジラ、ミンククジラ、マッコウクジラ、ゴンドウクジラ、シャチ)とイルカ種がニシンを採餌する大西洋のメイン湾の10万平方キロメートルにわたって、これらのクジラ種とイルカ種の発声と空間分布の地図を作成した。Ratilalたちは、多様な種の中から海洋哺乳類の発声を瞬時に検出し、その位置を特定し、分類した上で、捕食者が、浅瀬を相互に重複する採餌区域に分割し、それぞれの採餌区域が種に特異的で、空間的重複の度合いにばらつきがあることを発見した。これらの採餌区域は、ニシンの産卵期の少なくとも2週間にわたって維持されることも分かった。
今回、研究対象となった全ての海洋哺乳類の発声率には24時間周期があり、発声が夜間に顕著な種と日中に顕著な種があった。この研究結果は、巨大な生態学的ホットスポットとなっている広範な被食魚類の分布域の近くに集まる複数の海洋哺乳類の採餌行動の時間空間動態に関する新たな情報となっている。この研究結果については、海洋生態系の管理に役立ち、上述した海洋保護種に対する人為的影響の解明を進めることが期待されている。
doi:10.1038/nature16960
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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