【地球科学】2011年東北沖地震の地質学的基盤
Nature
2016年3月3日
2011年東北沖地震は、過去50年間に起こった巨大地震(モーメントマグニチュード9以上)の中で2番目に大きなものにすぎないが、過去10年間の災害の中で非常に広く知られている。地震破壊(断層運動と関連した突然のエネルギー放出)の運動学的性質を表す高分解能データがすでに発表されているが、地震破壊に寄与した物理的特徴や構造的特徴は、これまで明らかになっていなかった。
今回、Dan Bassettたちは、地形データと重力データを用いて、東北沖地震が発生した地域の地質構造の絞り込みを行った。Bassettたちは、太平洋プレートが本州の下に潜り込んでいる沈み込み帯を研究対象として、この沈み込み帯の上のくさび形物質を調べた。Bassettたちが得たデータからは、覆いかぶさっているプレート(上部プレート)に境界線が突然生じていることが明らかになった。この境界線について、Bassettたちは、陸上で観測できるいわゆる中央構造線の海上での延長線上にあり、さまざまな起源と密度の岩石が併置されているという解釈を示している。Bassettたちは、上部プレートの地質構造が地震挙動を制御する上で重要であり、地質的構造が類似した地球上の他の地域での地震の危険を解明するために今回の研究結果を利用できると考えている。
同時掲載される杉山昌広(すぎやま・まさひろ)たちのComment記事では、2011年3月の地震発生後の5年間を振り返って、エネルギー、政策その他の分野における数々の教訓を導き出している。杉山たちは、「国際化は極めて重要で、それが実を結ぶ日が来る」とし、日本の奨学金制度の国際化と学際化を進める必要がある、と結論づけている。
doi:10.1038/nature16945
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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