Research Press Release
【材料科学】3種類の生物から着想した方法による表面上での効率的な水滴の成長と撥水
Nature
2016年2月25日
水蒸気の凝縮とそれによって形成される水滴の撥水を最先端の表面の最大10倍の速さで実現する新しい表面設計法について記述された論文が、今週掲載される。
雨水貯留、火力発電など数多くの用途では、凝縮によって水滴が急速に形成し、できるだけ早く撥水されるような表面設計が必要とされる。しかし、現在の表面設計法には限界があり、水滴の成長か撥水のいずれか一方しか促進できないものがほとんどで、両方促進できるものはまれだ。今回、Joanna Aizenbergたちは、自然界に存在する3つの構造成分を組み合わせて、新しい表面を設計した。つまり、水分の凝結を促進する機能を有するナミブ砂漠カブトムシ(Namib desert beetle)の背中のへこみと水分を収集、輸送できるサボテンの非対称な棘を利用したのだ。こうして実現された水滴の成長と1つの方向への輸送性は、袋葉植物がヒントとなった滑りやすい表面コーティングを組み合わせることで、さらに増強された。
Aizenbergたちは、重力と不利な温度勾配に抗して水滴の成長と輸送を促進する表面が、雨水貯留、熱交換など数多くの用途に期待できると結論づけている。
doi:10.1038/nature16956
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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