「1着になれる」ウマの遺伝子
Nature Communications
2012年1月25日
競走馬の走速度を高める遺伝子の起源が明らかになった。その詳細を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。 サラブレッド種は、世界のウマの中で最も貴重な種と考えられており、約300年間にわたる育種では、競馬場での好成績をもたらす運動能力表現型の選択が熱心に行われてきた。運動能力表現型は、環境、管理と調教によって影響を受けるが、ウマの運動能力に影響する遺伝的要因が根底に存在するという考え方も長い間認められてきた。これまでに、サラブレッド種の運動競技や訓練に対する生理学的適応を説明する遺伝子がいくつか同定されており、ミオスタチン遺伝子座におけるC/T多型が、その一例だ。 今回、E Hillたちは、集団遺伝学に基づく分子的研究と血統的研究を組み合わせて、現存するウマと過去のウマの標本を調べて、この貴重なC多型のアレルの起源をたどった。その結果、Tアレルが祖先型であることがわかったが、Cアレルについては、英国原産の雌馬に由来するサラブレッド種の基礎段階でCアレルが一度導入されていたことが判明した。Hillたちは、18世紀と19世紀の著名な競走馬において、Cアレルがまれにしか見られなかったが、最近の有力な種馬を介して、現存種において拡散したことを指摘している。 サラブレッド種の運動能力が、有利な環境だけでなく、運動能力に有意な影響を与える座位におけるDNA多型の最適な組み合わせを受け継ぐことにも依存している、とHillたちは結論づけている。
doi:10.1038/ncomms1644
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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