【火山学】フレグレイ平野での火山活動活発化の可能性
Nature Communications
2016年12月21日
火山性カルデラ盆地であるフレグレイ平野(イタリア・ナポリ)の地下のマグマから放出されるガスの圧力が、火山活動を引き起こす可能性のある臨界圧力に達している可能性があるという見解を示した論文が、今週掲載される。フレグレイ平野のカルデラは、約39,000年前の火山噴火(ヨーロッパにおける過去20万年間で最大の火山噴火)によって生じたもので、最近になって火山活動が再び活発化していることを示す徴候が見られる。ただし、フレグレイ平野での火山噴火が差し迫っていることを示す証拠はない点には注意を要する。
長寿命のカルデラ系では、静穏期に熱水系が発達するのが一般的だ。火山が再び活発に活動し、マグマが上昇するようになると、その後マグマの噴出が起こるかどうかは、マグマとその上を覆っている熱水系との複雑な相互作用によって決まる。今回、Giovanni Chiodiniたちは、物理モデルと揮発性モデルを用いて、マグマが脱ガス圧力の臨界点に近づくとマグマから放出される揮発性ガスに含まれる水分がますます多くなることを明らかにした。こうした揮発性ガスが直上に位置する熱水系に注入されると、温度上昇と膨張が起こり、それが加速的な変形を引き起こし、噴火につながる。
フレグレイ平野は、再生カルデラの一種で、1950年代以降、火山活動の徴候が見られる。過去15年間に熱水系が全体的に加熱されてきたことが、隆起とガス放出が頻繁に起こったことを示す証拠によって示されている。Chiodiniたちは、独自のモデル作成データをフレグレイ平野に適用して、マグマが脱ガス圧力の臨界点に達しているという考えを示している。ただし、Chiodiniたちは、火山活動の基盤となる要因が複雑であり、火山の活動期が生じることを十分に予測するのは難しいことも指摘している。
doi:10.1038/ncomms13712
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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