小さな月の融合が月を形成した
Nature Geoscience
2017年1月10日
月は単一の巨大衝突ではなく、一連の大衝突により形成された可能性があるという研究が報告された。このモデルは、月が、なぜ地球と他の惑星の混合物ではなく、大部分は地球に似た物質で形成されているように見えるかを説明している。
原始地球と火星サイズの天体との間の巨大衝突は、地球-月系を説明するための主要な候補となっている。よく説明できる巨大衝突によるシナリオでは、月を形成する物質の多くが(衝突体ではなく)地球由来であるか、あるいは衝突体の成分は地球と同一であるとされている。しかしながら、両者はいずれも可能性があるが、ありそうもないシナリオである。
Raluca Rufuたちは今回、大きな(しかし巨大ではない)惑星体が原始地球に衝突する数値シミュレーションを行った。シミュレーションでは、衝突は破片の円盤を生成し、その多くは衝突体の物質ではなくほぼ地球物質でできていた。破片の円盤は、個々の衝突の後に集積して小さな衛星を形成し、著者たちは、これが結果的に外向きに移動して成長する月と合体したと提案している。集合して月を作り上げるには、このような小さな衛星をおよそ20個形成する衝突が必要である。
著者たちは、原始地球と大天体との間の大きさの小衛星を形成する衝突は、初期太陽系内では月を形成すること、および観測された拘束条件と一致するのに十分に一般的であったと考えている。複数の衝突により月が作り上げられるということは、月が地質学的に一瞬というわけではなく数百万年をかけて形成されたこと、そして、地球と月の内部は巨大衝突シナリオの場合よりもよく混合されていない可能性があって、この爆撃時の記録を保存しているかもしれないことを意味している。
関連するNews&Viewsの記事で、Gareth Collinsはこの研究が、「単一の巨大衝突ではなく、これまではほとんど考えられてこなかった、より小規模で一般的な一連の衝突で月が形成されたというシナリオ」を復活させたと書いている。
doi:10.1038/ngeo2866
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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