神経科学:赤ん坊の脳は大人の脳のように視覚処理ができる
Nature Communications
2017年1月11日
新生児は、早ければ生後4か月で成人と同じように顔と風景の視覚処理ができるようになることを明らかにした論文が掲載される。
成人の大脳皮質の視覚野は、顔、物体、風景など目に見えるもの全てをそれぞれ処理する領域に分かれている。ただし、こうした領域が、周辺環境にさらされたために形成したのか、それとも若い頃から存在していたのかは分かっていない。今回、Ben Deenの研究チームは、生後数か月で視覚野の構造的構成が成人並みになっていることを示す証拠を得た。
Deenたちは、9人の乳児(生後4~6か月)を機能的磁気共鳴画像装置の中に寝かせたままで、さまざまな画像を見せて画像データを取得した。このデータから明らかになったのは、これらの乳児と成人の視覚野では、同じような視覚刺激を与えられた際の応答が類似していたことだった。この結果は、乳児の視覚野に早ければ生後4か月で特定の視覚カテゴリー(例えば、顔と風景)を処理する領域が形成することを示している。その後の追跡実験では、視覚刺激の特徴(例えば、色の種類、色の明るさ)が原因となってこうした結果が生じたのではないことが実証された。
この研究で乳児の脳に見られた機能的応答には、成人の脳に見られる微妙な差異が認められなかったが、今回の研究結果からは、視覚野におけるカテゴリー選好の大規模な構成が、生後わずか4か月の時点での視覚刺激への曝露後に成人とすでに同じ程度になっていることが示唆されている。
doi:10.1038/ncomms13995
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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