【生態】ナミビアの妖精の輪の謎を解く
Nature
2017年1月19日
ナミビアのフェアリーサークル(妖精の輪)がどのようにしてできたのか、という長年の謎に対して1つの説明を示した論文が、今週掲載される。
自己組織化した規則的な植生パターンは自然界に広く見られるが、その存在の背後にある機構については議論が続いている。とりわけナミビアのフェアリーサークルのような等間隔に配置されたパターンの起源については論争がある。フェアリーサークルには、直径2~35 mの円形に露出した土壌が点在し、それぞれの周囲には背の高い草が環状に生えており、これによりナミブ砂漠の複数の部分に存在する草原が分断されている。1つの仮説によれば、フェアリーサークルは、スケール依存性フィードバックによって形成したものであり、植物はこのフィードバックによって近隣の植物の役に立っているが、遠隔地の個体とは競合関係にあるとされる。もう1つの仮説によると、フェアリーサークルを作ったのは地下生態系のエンジニアであるシロアリやアリ、齧歯類だとされる。
今回、Corina Tarnitaの研究チームは、この2つの競合する学説をモデルシミュレーションに組み込むことで両説の違いを調整し、その後、4大陸の野外データを用いてこのモデルシミュレーションの検証を行った。その結果、Tarnitaたちは、両説のいずれか一方ということではなく、同じ昆虫種の地下の社会性昆虫コロニー間の競争と植物間のスケール依存性フィードバックの両方を組み合わせて、自己組織化した規則的な植生パターンを説明できることを明らかにした。Tarnitaたちは、ナミビアのフェアリーサークルを事例研究とし、スナシロアリのコロニー間の相互作用とスナシロアリと草地との相互作用の両方によって大規模な六角形の植生パターンが形成されたことを明らかにした。
Tarnitaたちは、こうした規則的な間隔で配置された景観の特徴を説明する際には、生態学的な自己組織化機構を2つ以上考慮すべきだと結論づけている。
doi:10.1038/nature20801
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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