Research Press Release
【進化】オルドビス紀の多様性爆発における小惑星の役割が否定される
Nature Communications
2017年1月25日
地球上の生命の歴史において最も重要な海洋生物多様性の増加の1つがオルドビス紀に起こっており、これまでの学説では隕石爆撃に結び付けて考えられていたが、今週掲載される論文によれば、そのような結び付きはなかったという。
Great Ordovician Biodiversification Event(GOBE)とは、地球上の海洋動物と海洋植物の多様化が爆発的に起こり、地球上の生命にとっての大きな進化段階となった事象のことで、約4億7100万年前に始まった。これまでGOBEの開始は、それとほぼ同時期に起こったと考えられている地球上での激しい隕石爆撃現象に関連したものと考えられていた。
今回、Anders Lindskogの研究チームは、隕石が含まれるスウェーデンの堆積層で採取されたジルコン結晶の年代を決定し、これと関連性を有する隕石物質の宇宙線照射年代に関する既報のデータと比較して、隕石爆撃が始まったのが約4億6800万年前だったことを明らかにした。今回の研究による年代決定は、GOBEの開始時期が、地球上での激しい隕石爆撃現象の始期よりも実際には少なくとも200万年早かったことを示している。
今回の研究結果は、GOBEが始まった原因が隕石爆撃ではなかったとしており、その頃に海洋生物の多様化が爆発的に起こった原因に関する議論を再燃させている。
doi:10.1038/ncomms14066
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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