【動物行動】市場が開放されると選択肢の比較検討を始めるアシナガバチ
Nature Communications
2017年1月25日
アシナガバチは、所属するコロニーとは別の巣やコロニーを選ぶ余地が生まれると、所属するコロニーの援助への投資を減らすことが明らかになった。この研究結果を報告する論文が、今週掲載される。巣は、アシナガバチにとって制限要因となる資源で、生物市場の基盤をなしている。この生物市場は、特定の商品の価値が需要と供給の影響を受けるヒトの経済市場に似ている。
アシナガバチの一種であるヨーロッパアシナガバチ(Polistes dominula)の雌は、新しい巣を作るという選択肢と、既存の巣に従属者として加わって優位に立つ繁殖者の子育てを助け、その見返りとして群れへの帰属に伴う恩恵を得るという選択肢のいずれかを選ぶことができる。これと類似した協同繁殖システムは、鳥類、魚類、霊長類の一部の種だけでなくミーアキャットにおいても見つかっている。これまでの研究では、協同繁殖を解明するために生物市場理論が適用されてきたが、外部オプションの影響を調べていなかった。
今回、Lena GrinstedとJeremy Fieldは、空っぽの営巣地と新たに参加できる別のコロニーを提供することで、ヨーロッパアシナガバチの外部オプションを操作した。この実験で、従属者となったアシナガバチは、営巣地のオプションが増えると採餌行動を減らした。餌を集めることは、コロニーを成立させるために必要な作業だが、採餌者は危険にさらされる。従って以上の新知見は、従属者のアシナガバチにとっての選択肢が増えると、リスクを冒す頻度が低下することを明らかにしている。
doi:10.1038/ncomms13750
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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