【化石】骨化石にタンパク質が保存されていたことを示す最古の証拠
Nature Communications
2017年2月1日
1億9500万年前の恐竜の骨にコラーゲンが保存されていたことを示す証拠について明らかにした論文が、今週掲載される。この新知見により、タンパク質保存の記録がこれまでの研究より1億年以上も長くなった。
軟組織は、独特な生物学的情報と進化情報をもたらすが、化石化する過程で保存されることはまれで、試料を抽出して外部で調べようとすると劣化の恐れが生じる。今回、Robert Reisz、Yao-Chang Leeたちの研究チームは、シンクロトロン放射光を用いたin situフーリエ変換赤外分光法を用いて、1億9500万年前の恐竜(ルーフェンゴサウルス)の骨の化学物質含有量を調べた。この方法では、骨に含まれる物質を抽出せずにすむため、汚染のリスクは回避された。その後の解析で、骨内を走行する血管中に保存されていたタンパク質断片からコラーゲンの特徴的なシグナルが検出された。
さらにラマン分光法を用いた解析が行われ、骨内の血管中にヘマタイト粒子が同定された。Reiszたちは、このヘマタイトが、血液中のヘモグロビンとその他の鉄分を豊富に含むタンパク質が分解して生じたものであり、血管にヘマタイトが詰まっていたことで、コラーゲンが無機環境中に封じ込められ、これがコラーゲンの保存に役立ったという考えを示している。Reiszたちは、こうした解析技術が化石中でのタンパク質の保存を示す証拠を得る上で貴重なことが、今回の研究によって実証されたと結論づけている。
doi:10.1038/NCOMMS14220
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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