【化石】妊娠状態の古爬虫類の化石が見つかった
Nature Communications
2017年2月15日
約2億4500万年前の妊娠状態の爬虫類の化石が発見されたことを報告する論文が、今週掲載される。この化石は、爬虫類の一群である主竜様類の化石であり、この分類群には、恐竜と鳥類、ワニ類などが含まれている。また、この爬虫類は、産卵ではなく、生仔を出産していたこと(胎生であること)がわかった。胎生の主竜様類は、これまで知られていなかった。
胎生は、多くの種類の動物において独立に進化した。しかし、現生の鳥類とワニ類は、全て産卵によって繁殖しており、このことは、これらの系統の生物に対して、胎生を妨げる生物学的制約が加わっていることを示唆している。
今回、Jun Liuの研究チームは、首の長い水生爬虫類のディノケファロサウルスの化石標本が中国で新たに発見され、その年代が三畳紀中期と決定されたことを説明している。これはディノケファロサウルスの成体の化石であり、その腹部には発生が進んだ胚が保存されており、胎生の証拠となっている。この知見は、主竜様類全体において胎生に対する障害のないことを示唆している。
また、Liuたちがディノケファロサウルスの進化史を解析したところ、仔の性別が遺伝的に決まることが明らかになった。この点は、環境温度によって性別が決まる近縁種(ワニ類と一部のカメ類など)とは異なっている。Liuたちは、体内温度の調節が温度依存性の性決定と両立しないことから、ディノケファロサウルスにおいて遺伝的性決定が胎生の前提条件になっている可能性があるという結論を示している。
doi:10.1038/ncomms14445
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