【進化】初期のカメが首を垂直方向に曲げて甲羅に収納していた理由
Scientific Reports
2017年2月17日
一部のカメでは、首(頸部)を甲羅に収納する能力が、頭を素早く伸ばして獲物を捕らえるために進化したという見解を示すJeremy Anquetinの研究チームの論文が、今週掲載される。Anquetinたちは、頭を甲羅の中に完全に収納して防護することは、この進化過程の二次的利益だったと考えている。
従来の学説では、カメ類が甲羅に収納する機構を発達させたのは、頭と首を防護するためだとされてきた。現生カメ類の2つの系統は、それぞれ異なる収納機構を発達させた。つまり、曲頸亜目のカメは、首を横に曲げて収納するのに対して、潜頸亜目のカメは、首を垂直方向に曲げ、頭を真っすぐ引いて収納する。この2つの機構は、ジュラ紀後期(約1億6100万年~1億4500万年前)以降に独立に進化したと考えられている。
この論文では、ジュラ紀後期に現在のドイツとスイスに当たる地域に生息していた初期の曲頸亜目のカメ(Platychelys oberndorferi)の第6頸椎と第8頸椎について説明している。Anquetinたちは、P. oberndorferiが潜頸亜目の現生種と同じ機構を用いて首を垂直方向に曲げ、頭を部分的に甲羅に収納していたことを発見した。また、Anquetinたちは、頭を部分的にしか収納できなかったことに着目し、この機構が進化したのは主に、カメが頭を素早く伸ばして、すばしこく動き回る獲物を捕獲する能力を高めるためだという考えを示している。さらに、Anquetinたちは、現生のカメが食物を摂取する際に頭を制御する機構をさらに探究することによって、この学説をさらに検証する必要があると指摘している。
doi:10.1038/srep42376
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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