【気候科学】東沙(Dongsha)環礁でのサンゴの大量死
Scientific Reports
2017年3月24日
2015年6月に南シナ海(SCS)の海面水温は摂氏2度上昇したが、それが増幅されて東沙(Dongsha)環礁の海水温が摂氏6度上昇し、この環礁に定着するサンゴ群集の約40%が死滅したことを報告する論文が、今週掲載される。
今回、Thomas DeCarlo、Anne Cohenたちの研究チームは、太平洋エルニーニョの発生によって南シナ海での海面水温が摂氏2度上昇したことが、南シナ海北部のサンゴ礁である東沙環礁に及ぼした影響を論文にまとめた。この短期的な温暖化だけで、この海域のサンゴ礁が広範な被害を受けたという可能性は低いが、DeCarloたちは、異常な高気圧によって南シナ海北部での風速と波浪が低下して、外洋での異常な温度上昇(摂氏2度の上昇)に加えて最大で摂氏4度の温度上昇が起こったことと、6月から7月にかけての6週間に東沙環礁のサンゴの33~40%が死滅したことを明らかにした。
DeCarloたちは、コンピューター断層撮影を行って、東沙環礁のサンゴのコロニーが1983、1998、2007年のエルニーニョ現象に関連する温度上昇を生き延びていたことを確認した。このことは、2015年のエルニーニョ現象が、少なくとも過去40年間に東沙環礁を襲ったエルニーニョ現象のうちで最も強力なものだったことを示唆している。
DeCarloたちは、サンゴ礁の将来予測の大部分が外洋の温暖化に関する推定に基づいているため、多くの浅いサンゴ礁生態系に関する予測が過度に楽観的なものになっている可能性があると主張している。
doi:10.1038/srep44586
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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