情報ラベルがビルディングのエネルギー消費を削減する
Nature Energy
2017年3月28日
エネルギー効率を向上させるよう策定された米国の情報プログラムが、ロサンゼルスの商業ビルで最大30%の省エネをもたらしたことが、今週のオンライン版で報告されている。しかし、こうした利益は得られたが、このプログラムの規定によって、この地域の排出量の2/3を生み出している小規模ビルや中規模ビルへの影響は限定的である。
ビルディングに供給されるエネルギーは、米国の総エネルギー消費量の約1/3に相当する。認証ラベルのような情報プログラムは、多くの国に導入され、省エネ対策への投資を促進している。省エネ対策の目的は、エネルギー消費量、ひいては炭素排出量の削減である。エネルギー省のベタービルディングチャレンジ、環境保護庁のエネルギースター・プログラム、グリーンビルディング協会のLEED(Leadership in Energy and Environmental Design)プログラムは、米国における3つのこうした取り組みである。
今回Omar AsensioとMagali Delmasは、2005年から2012年におけるロサンゼルスの17万8,777棟の商業ビルの月間電力消費量データを分析して、こうした3つのプログラムの有効性を調べている。その結果、得られた省エネ額は、プログラムに応じて18%から30%(年当たり2億1000万キロワット時(kWh)あるいは二酸化炭素換算(CO2e)排出量145キロトンの削減)であり、より大きくより大量にエネルギーを消費するビルディングで省エネが維持される可能性が特に高いことが分かった。しかし、資格規定と参加者の自主的選択のために、小規模ビルや中規模ビルではこのプログラムの有効性が低くなっている。
著者たちは、情報プログラムによって、商業ビル部門のエネルギー効率に対する投資障壁を取り除くことができるが、プログラムの理解を高め影響を大きくするには課題がまだ残っていると結論している。
doi:10.1038/nenergy.2017.33
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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