【考古学】人食いによる摂取カロリーを計算する
Scientific Reports
2017年4月7日
先史時代に行われていた食人は、純粋に「栄養をとる」という性質のものではなかった可能性を示唆するツールを紹介した論文が、今週掲載される。このツールとは、人体の各部位のカロリー価の代理指標が記載されたテンプレートのことであり、先史時代の食人が、他の動物の肉を摂取する場合と比較して、食事としてどれほどの価値を有していたのかを判断するために利用できると考えられている。
今回、James Coleは、4人の男性の化学組成分析によって得た身体各部の平均重量とカロリー価(脂肪とタンパク質)を総合して人体の栄養テンプレートを構築した。しかし、こうして得られたデータは現代人に関するものであり、ヒト(Homo sapiens)以外のヒト族種においてどの程度異なるのかは明らかでない。Coleは、ネアンデルタール人の骨格筋の筋肉量が多いため、そのカロリー価もテンプレートの値より高かった可能性があり、ヒト以外のヒト族種のカロリー価は、今回の研究で明らかになった値と同等かそれ以上だったと考えるべきだろうという見解を示している。
Coleは、旧石器時代に食人が行われていた遺跡において化石で発見された動物種について算出されたカロリー価を比較して、ヒトの骨格筋の栄養価が、体の大きさと重量が近い動物種とほぼ同じことを明らかにした。一方、ヒトが生み出すカロリーよりもヒト族が食用にしていたことが知られる大部分の大型動物(例えば、マンモス、ケサイ、シカ種)が生み出すカロリーの方が有意に高いことも明らかになった。
Coleは、栄養をとるという目的だけでヒト族の狩猟を行って摂取することの実行可能性が、今回の研究で得られた知見によって疑問視されていると主張し、先史時代の食人を明らかにするための全体論的アプローチの一部として今回の研究によるデータと方法を採用することを推奨している。
doi:10.1038/srep44707
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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