【素粒子物理学】まれにしか起こらない放射性崩壊の検出
Nature
2017年4月6日
ニュートリノを放出しない二重ベータ(0nββ)崩壊をバックグラウンドフリーで探索する方法を記述した論文が、今週掲載される。この放射性崩壊が検出されれば、ニュートリノが自身の反粒子であることが証明される。
素粒子物理学の標準模型の特定の拡張版は、ニュートリノが自身の反粒子であると仮定することで我々の宇宙に物質が反物質よりも多く含まれていることを説明する。これが正しければ、放射性崩壊の一種である0nββ崩壊(2個の電子が放出されるがニュートリノは放出されない原子核の崩壊)が存在するはずだ。ところが0nββ崩壊の半減期は、我々の宇宙の年齢より少なくとも15桁長いため、0nββ崩壊を観測するためには、その検出を妨げる恐れのあるバックグラウンド信号を全て抑制することが必要になる。
今回、GERDA(GERmanium Detector Array、ゲルマニウム検出器アレイ)実験チームは、35.6 kgの76Ge同位体で0nββ崩壊を探索する第2期のGERDA実験で得られた最初のデータを報告している。この論文の著者は、バックグラウンド事象を拒否するシステムを使用して、この分野で初のバックグラウンドフリーな実験を実現したことを報告している。ただし、0nββ崩壊の兆候は見つからなかった。
同時掲載されるPhillip BarbeauのNews & Views記事では、このバックグラウンドフリーな結果が「この分野にとって注目すべき成果であり、今後は0nββ崩壊に対する感度の高い探索ができるようになる」と指摘されている。
doi:10.1038/nature21717
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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