気候変動は人々の身体活動パターンを変える可能性がある
Nature Human Behaviour
2017年4月25日
気候変動が社会に及ぼす影響のほとんどはネガティブなものであることが普通だが、今週のオンライン版で発表される論文では、気候変動が米国にもたらしうる有益な影響の1つが報告されている。研究によれば、今世紀を通じた温暖化は、余暇時間の身体活動を実質的に増やし、ひいては、運動のもたらす生理学的・心理学的な利益の一部を拡大する可能性があることが示唆された。
Nick ObradovichとJames Fowlerは、2002~2012年における190万人以上の米国人を対象とした余暇時間の身体活動への参加に関するデータを、毎日の気象データと組み合わせることで、降雨に加えて、低い気温および極めて高い気温が身体活動を減らすことを示した。また、過去の推定値を気候モデルの出力と組み合わせることで、2050~2099年の将来の気候変動が身体活動に及ぼしうる影響を予想した。その結果、温暖化が、米国全域において全般的な運動参加率を高める可能性があることが判明した。運動参加率の上昇は主に1年のうち寒冷な数カ月において(特に北部の州において)みられる可能性がある一方で、夏期の数カ月間には(特に南部の州において)低くなる可能性があることが示唆された。
しかし、身体活動への温暖化の影響は、世界全体において一様に有益とはならない可能性が高いと研究チームは指摘している。平均気温が高く、空調の普及率が低い国々では、身体活動は気候変動のために純減する可能性がある。
doi:10.1038/s41562-017-0097
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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