Research Press Release
【材料科学】火星上で石造りの建物を作るための材料
Scientific Reports
2017年4月28日
模擬火星土壌(化学組成が火星の土壌に類似した化合物)を圧縮してできた固形物に建材としての利用可能性があることを報告する論文が、今週掲載される。
人類が火星で永住するためには生命を維持するためのインフラが必要で、構造材の安定的な供給も必要とされる。しかし、そうした構造材を現地にある資源だけを利用して製造できるのか、そして、その製造過程でエネルギーを大量に消費するプロセス(例えば熱処理)を用いずに済むのかどうか、といった疑問が提起されている。
今回、Yu Qiaoたちの研究グループは、模擬火星土壌の一種であるMars-1a粒子を常温で高圧圧縮してできた高密度の岩石に似た固形物が鉄骨鉄筋コンクリートより優れた強度を有していることを実証し、火星の土壌から検出されることの多いナノ粒子状酸化鉄が、この圧縮過程で結合剤として作用することを明らかにした。Qiaoたちの考えでは、火星上に見られる自己凝集性を有する土壌をさらに圧縮すると高強度の構造材を作製でき、この製造プロセスが、付加製造(材料を徐々に付加しながら構造体を製造する手法)と両立し得るとされる。
doi:10.1038/s41598-017-01157-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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